水素水による二日酔い・悪酔い予防効果を検証

お酒と一緒に水素水を飲むと、二日酔いや悪酔い予防効果を実感するというお話をしばしば聞くことがありました。
ですが、それらの情報は、あくまで主観的な感想であり、何かしっかりとした研究の結果がなかったため、二日酔いに水素が効果的なのかは、わかっていませんでした。
2016年6月24日、広島県立大学と三重大学の研究グループが、水素水と二日酔いの関連性を検討した論文を発表されました。この論文により二日酔い・悪酔い予防効果の一部が明らかになりました。今回は、その一部をお届けします。

二日酔い・悪酔いの原因とは

そもそも、人はなぜ二日酔いや悪酔いになるのでしょうか。
その元凶は「アセトアルデヒド」と呼ばれる物質です。もともとお酒のアルコール成分であるエタノールは、肝臓で代謝されアセトアルデヒド→酢酸となり、やがて炭酸ガスと水になり体外に排出されます。

肝臓で行われているアルコール(エタノール)の代謝反応

肝臓で行われているアルコール(エタノール)の代謝反応

ところが自身の代謝能力以上のアルコールを摂取すると、中間代謝物質であるアセトアルデヒドが蓄積していきます。アセトアルデヒドにはたんぱく質やDNAと結合したり、ミトコンドリアを障害したりする性質があり、肝細胞をはじめ多くの細胞に強い毒性を示します。
これにより吐き気や頭痛、体の震え、急性アルコール性胃炎など様々な症状が生じるのです。

水素はアセトアルデヒドを解毒する

 

研究グループは、実験の結果、水素にアセトアルデヒドの解毒効果があることを突き止めました。

実験のような解毒効果が見られる理由は、水素の還元力にあるそうです。
アセトアルデヒドはエタノールが代謝されたり、醸造や長期保管によりお酒が酸化することで生成されます。この時、アセトアルデヒドに水素分子を加えると、水素の還元力によりエタノールに戻りその毒性が無効化されます。

水素によるアセトアルデヒド還元反応

水素によるアセトアルデヒド還元反応

こうした解毒反応により、アセトアルデヒドの細胞毒性から生じる様々な症状を抑えられると考えられています。

この研究から導かれる水素水の可能性

この研究により、水素は、例えばアルコール性肝炎、肝臓癌、肝硬変など、これら病気の予防にも効果的である可能性が示唆されました。

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参考文献:The hydrogen-storing microporous silica ‘Microcluster’ reduces acetaldehyde contained in a distilled spirit. Mater Sci Eng C Mater Biol Appl. 2016 Dec 1;69:117-21.