弾けた「水素水バブル」、日本トリムの言い分

国民生活センターの報道発表が大打撃

恨み節あふれる、業績の下方修正だったのではないでしょうか。整水器販売を手掛ける日本トリムは1月30日、第3四半期(2016年4~12月期)の業績を発表すると同時に、2017年3月期通期の業績見通しを引き下げました。内容は、従来予想の売上高173億円(前期比13.2%増)、営業利益34.7億円(同11.1%増)を、売上高153.5億円(同0.5%増)、営業利益30.2億円(同3.3%減)にするというもの。

日本トリムは、電解水素水整水器の製造および販売を目的として設立されました。2004年3月に東証1部へ上場し、現在整水器では国内トップシェアを誇っています。150億円余りの売上高のうち、整水器販売を中心とするウォーターヘルスケア事業が約95%を占めており、まさに水素水であがってきた会社といえるのではないでしょうか。

業績を下方修正した理由には、悔しさもにじんでいる。
「昨年5月の産経ニュースを発端とする水素水に対する否定的な一連の報道の影響からは回復に向かう基調でした。しかし、昨年12月に国民生活センターから水素水に関する報道発表がなされ、その風評による影響が新たに発生し、販売効率が下がる結果となりました」。

同社の株価は下方修正を公表した翌日に7%近く下落(終値ベース)しており、その後も膠着状態が続いています。

国民生活センターがテストを実施

国民生活センターが行ったこのテストは、水素水の機能を科学的に分析することよりも、表示や広告のあり方、表示どおりの水素濃度があるかなどを調べることが主な目的でした。テストでは溶存水素濃度が表示値より測定値のほうが低いケースがあり、その他にも製品に記載された「様々な病気の原因といわれる悪玉活性酸素を無害化する」「アトピーに かゆい部分に水素水をつけて下さい」などの表示も、健康増進法や景品表示法などに抵触するおそれがあると注意勧告を行っていました。

テスト対象になった影響は甚大

日本トリムの製品もテストの対象商品となりました。定価17万7120円(税込み)の水素水生成器です。テストの対象銘柄は「相談のあった銘柄をもとに選んだわけではない」(国民生活センター)としているが、日本トリム・執行役員経営企画部長の田原周夫氏は怒りを隠さず、下記のように述べております。

「われわれは全国28カ所の事業所を通じ、毎月1回必ず消費生活センターに『何か問題はありませんか』と聞きに行っている。これまで消費者からは『だまされた』というクレームは一件もない。なぜわれわれが調査の対象に選ばれなければいけないのか。相談件数の内訳こそ、開示されるべきだ」。

それに対して、国民生活センター商品テスト部の担当者は次のように反論しています。

「今回のテストは多くの消費者が飲用していると考えられる水素水の実態を調べることを目的としているため、消費者が購入するに際し、広く一般に流通している商品群の中から選んだ。消費者が銘柄を名指しして相談しているケースばかりではないため、集計結果の内訳は出していない。」

消費者から見て最も大きな問題は、同社が販売する整水器が本当に「まがい物」かどうかという点だろう。田原氏は「当社の整水器は厚生労働省が所管する医薬品医療機器等法(旧薬事法)に規定された医療機器であり、厳しい基準を満たしている。管理医療機器として胃腸症状の改善も認められている」と語る。

この点については国民生活センターも、日本トリムの製品が「管理医療機器として認証されている」と認めています。問題なのは、「医療機器について認証を受けていない効能・効果をうたうこと」(担当者)だと担当者は説明しています。

参考:東洋経済←全文はこちらから